AffinityシリーズでAdobeのツールを代替する場合、日本語の文字組版が使い物にならない点がほぼ唯一の弱点だと思う。ではどれほど使い物にならないのかを検証してみようと思いたち、記録として残すことにする。 英語圏で開発されたアプリなので、縦組みの組版は通常の方法では不可能である。そこで横組みに限定して検証してみることにする。 まず、上図のように3mm角のグリッドを用意し、文字サイズ8.5pt(ほぼ3mm)、行間17pt、文字数50文字、両端揃えで組んでみた(下図)。驚いたことに普通にベタ組みが実現している。日本語フォントの認識も問題ない。問題があるとすれば、約物の禁則処理を設定することができない点であろう。下図においても「、」「。」が行頭に来ている。 そこで、大昔のイラレのように、行頭に来てしまった「、」を手動で一つ前の行に追い込めば解決するかと思い、試しに先頭のブロック(下図の囲んだ部分)にトラッキング「-10」を設定してみたのが下図である。ここで、不思議な挙動を見せる。ブロック全体に-10を設定したが、実際に詰まったのは1行目のみで、2行目以降は文字間が変化しないのだ。 テキストが日本語のみの場合どうなるかのサンプルが下図。上図と同じ トラッキング「-10」の設定だと、行頭の「、」は追い込まれない。このことから、トラッキングで調整されたのは英語の部分だけなのではという疑問が発生。 では、日本語のみの場合、トラッキングの数値をいくつにすれば文字間が詰まり、「、」が追い込まれるのかを実験したのが下図。「-19」までは変化がなく、「-20」で2文字分追い込まれた。 Affinityシリーズのトラッキングの単位は「‰(パーミル)」なので、1文字を1000として計算している。「-20」は「1000分の20」つまり「50分の1」サンプルは1行が50文字なので、1行について1文字分詰める設定だから、2行分で2文字詰まって3行目行頭の「、」が2行目に追い込まれたわけだ。 ここまで検証してみると、Affinityでの日本語組版は案外素直な挙動をしめすことが理解できた。初期のDTPのように1行の文字数を計算してボックスを作り、禁則が必要な箇所は、直前の行を詰めるなどして地味に調整していけば単純なベタ組であれば問題ないのではという希望が見えたところで
紙媒体中心のデザイナーが脱アドビを目指して導入したツールの忘備録。
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